考える前に書く

好き勝手にしています

母へ

若さって言葉が、嫌いです。

思春期なんて、もっと嫌。

本当は形になんてなっていない気持ちが、ありふれたものに淘汰されてしまうのは、なんて残酷なんだろう。

きっと、他と一緒にされたくないという気持ちもまた、「思春期」なのでしょう。

どうして、自分が「そう」であったとき嫌だった感情を、後進に与えてしまうのでしょう。

どうして、自分の経験に今直面する者と、肩を並べられないものなのでしょう。

思春期だからと一言で片付けてしまうのは、何よりあなたが嫌悪していたことではないのですか。

あなたの中にいつかの私の面影が見える日はもうないのだと、知ってしまったことが、何よりも寂しい。

光の速度を超えられなくても

Googleマップストリートビューには、過去の日付を見ることができる

グレーの車を乗り回していた彼

沢山柿が成る木を自慢していた彼が、そこにはいる

また新しい写真で塗り替えられていくけれど、その度に私はタイムスリップして、彼に会いに行くのだ

クッキー

好きだから、と言ってしまえば片付くことが沢山あるだろう

けど、好きなんていう型で抜いたクッキーは味気なくて

きみが焼いたネコだかブタだかよくわからないクッキーが、おかしくって、可愛くて、言い切れない切なさで、敵わないなと思ってしまう

きみには、型を抜いて余ってしまった、切れ端の生地をどうか見てほしい

きっとどんな型で抜いたクッキーよりも、捨てちゃいけないところなんだ

月と太陽論争

月と太陽って、みんな大好き

明るいとか暗いとか、光とか影だとか、なんか色んな意味がありそうだもん

でも太陽からしたら、月と地球の関係って多分エモい。いつも地球の周りを回る月が、見せられない裏側を持ってるところとか

からしても、太陽と地球ってきゅんとくるのかも。1番近くにいなくても、1番太陽の恩恵を受けて青く輝く地球なんて、健気すぎる

みんなが好きで定番のカプなんて、n番煎じでつまらないから。そういう捻くれ者が新しいn番煎じをつくっていくんだ

リアルとか、なうとか

みんないつだって、会えない誰かが恋しいんだ

板ごしのあのこは、あのこじゃないのに、

見えた気になってんだ

心に住む天使はバスケをしていて、わたしは目を瞑る

瞼に浮かんだあのこの揺らいだ姿の方が、ずっと高画質だ

足踏み

ぼくにはきみが、足踏みしているように見えるけど

きっとそれは走り出す準備で

均した地面に足跡を残す咆哮だ

きみが走り出したら、目も合わせられないけれど、頭からかかとまで、全身をぼくの目に入れてしまおう

信号

信号のない横断歩道を渡る人は、まるで泥棒で

信号のある横断歩道で人は、王様のよう

何がお前を守っていると言うんだろう

守ってくれる絶対なんていないのに、どうして王様でいられよう

泥棒であれと、クラクションを鳴らす

王様がいなくなるまで、町に騒音は響く